衣服設計支援のための人間感覚データベース

体温調節能の評価方法

■ 評価方法の開発背景

「高齢者にやさしい衣料」を設計開発するには、高齢者に特有の生理特性についての正確な理解が不可欠です。そこでその基盤となる高齢者の感覚・生存能データ取得のための測定方法と評価基準を確立し、高齢者を中心としたデータ収集およびプロトタイプ衣服の評価を試みました。

■ 体温調節能の評価方法

夏の衣服に特化し、体温調節に重要な”暑さ”の感覚、生理反応(発汗など)と環境温度刺激の関係を評価する測定基準を確立しました。

■ 温度刺激の時間的変動に対する測定基準

暑さに対してヒトはまず皮膚血流を増加させて熱を体外に逃がすことで対処します。そして、それでは不十分の場合は汗をかいて蒸発による熱放散を盛んにします。このデータベースで想定している内衣、中衣を着用したときのこの2つの対暑反応(皮膚血流増加、発汗)の強さが評価できるように図のような環境温度刺激を設定しました。つまり、

(1) “暑さ”・”寒さ”を感じない中性温度(26℃)に1時間安静にし、これで安定な初期状態を得る。

(2) 30分間で20℃まで環境温度を低下させる.この寒冷刺激によって皮膚血流が最低のレベルまで低下し、また発汗もない状態をつくる。

(3) つぎに1.5時間で35℃まで環境温度を上げ、さらに1時間35℃に保つ。この刺激で先ず皮膚血流の増加、そして発汗が起こる。

加温がゆっくりであるので皮膚血流、発汗反応それぞれの特性を厳密に解析することが可能です。 温度以外には湿度50%、無風で、被験者は安静に椅子に座った状態を基準のものとしています。湿度、風、運動は当然ヒトの温熱反応に影響するので、それは別のシリーズの実験で検討しました。

風の影響について / 湿度の影響について / 運動能力の影響について