卓上計算器による入力操作感


体性感覚 −平成12年度 NEDO20人計測−




1.被験者数

年代 合計 20〜29 30〜39 40〜49 60〜69 70〜79 80〜89
合計 20 4 3 1 3 5 4
男性 10 2 2 0 2 2 2
女性 10 2 1 1 1 3 2


2.計測方法


市販の卓上計算器により二桁の数値を入力し、入力操作のしやすさ、入力操作時の押し力が、装置の種類や教示の仕方によりどのように変わるかについて調査した。(詳細は計測方法を参照のこと)


3.計測結果


(1)操作のしやすさ評価結果


操作のしやすさ評価を次の図に示す。

この図から、押しやすい順番、押した感じのいずれも若年者、高齢者とも同じであり、通常の押しボタンタイプがよく、フィルムタイプやタッチパネルタイプは評価が低くなっていることが分かる。

なお、タッチパネルタイプの評価が低いが、これはこのタイプの操作部が他の装置に比べて非常に小さいことが一つの要因であると思われる。


(2)入力時の押し操作力

卓上計算器による入力操作の結果の内、押し力を次の図に示す。

各図の縦軸は数値や+を入力したときの押し圧力のピーク値(1回の押しボタン操作で30回程度押す操作を行う)から求めた個人別平均値を用いて算出した、属性別平均値と最大値、最小値を示している。

これらの図から次のようなことが分かる。

1)通常の押しボタンタイプやフィルムタイプでは、高齢者は若年者に比べて操作時の力が強く、ばらつきも大きい。

2)きちんと押せたという感じで押したときには、通常の操作時より操作力が大きくなる。

3)入力したことが分かりにくいロールタイプでは、若年者と高齢者の差、通常操作としっかり操作の差が小さい。

なお、観察の結果、タッチパネルタイプは高齢者のばらつきが非常に大きく、ほとんどの被験者は手を離すのが遅れるため、1回操作で2回以上連続して同一数値を入力していた。



きっちり押せた感じで操作するという教示したときに、通常操作と比べて押す力が非常に大きくなった被験者の割合は次の表に示すように高齢者の方が大きい。
押しボタンタイプ フィルムタイプ ロールタイプ
若年者 1/ 8 1/ 8 4/ 8
高齢者 5/11 4/11 5/11



4.計測結果から


(1)高齢者向けの商品を考える上で、これまでは高齢者は力が弱いという認識から、弱い力で入るスイッチなどが検討されているが、実際の生活場面を想定した場合、場合によっては若年者よりも強い力で操作するという実態が明らかになった。

(2)また、ロールタイプのような、押した際の手応えがないような製品の場合は、どれくらいの力で操作すればよいかが分からずに、操作時の力がさらに強くなるという傾向が見られた。

(3)このことから、製品の耐久性テスト条件の見直しが望まれることや、適正な押し圧力で操作して欲しい場合には、ある程度の手応えや、スイッチonがすぐに分かる音や光などのお知らせを付加する必要があると考えられる。