調節に要する時間


動作特性 −平成9年度 NEDO20人計測−



1.被験者数:高齢者12名(60代、70代、80代、男女各2名)
若年者8名(20代、30代、男女各2名)


2.計測方法


 計測装置の前面に取り付けられた操作部を操作して、目標グラフの高さに合わせる。

ダイヤルは左右回転、レバーは左右方向のスライド式、押しボタンは2つのボタン(上昇ボタン、下降ボタン)を操作し、目標高さに合わせる。目標に合うと次の目標が提示されるので、それに合わせる。5回合わせると一つの操作が完了する。このときに要した時間、操作のしやすさに関する内観報告を聴取する。


3.計測結果


 次の図に、操作部のタイプによる調節時間の違いの計測結果を示す。この図は5回の目標合わせをOK幅3種類について計測した結果(15個の計測値)から算出した、1回の目標合わせに要する平均時間を示している。





図に見られるとおり、ダイヤル、スライド式のレバー、押しボタンでの調節所要時間には、それほど大きな差はないが、高齢者と若年者では非常に大きな差があり、高齢者は若年者のの1.5〜2倍の時間を要している。


 次の図に、OK幅(目標からずれてもいい許容幅、その範囲内に所定時間維持できればOKと判定する)をシビアな設定(±1ドット)からラフな設定(±3ドット)まで変えたときの、調節に要した時間を示す。

この図は各条件で5回目標合わせ操作を行うが、1回あたりの平均値を示している。





 図に見られるように、高齢者の場合、ダイヤルやスライド式のレバーのようなアナログ操作に比べて、押しボタンによるディジタル操作では、OK幅は非常に大きな効果がある。

これは、高齢者の中には、押しボタンを軽くチョンチョンと押す操作ができず、目標近くで行ったり来たりしてなかなか合わせられない人がいるためである。

このように、目標からのずれの許容範囲を広げると、調節操作は楽になる。

シビアな調節を必要とする装置であっても、設定位置付近では、変化速度が遅くなったり、表示の細かさが変わって、許容幅が大きくとれるなどの工夫が必要であろう。