高齢者のIT利用特性データベース

IT機器の操作手順に関するメンタルモデル

■ メンタルモデル評価実験

■計測目的と計測内容

ユーザが機器に対してどのような操作順番をイメージしているのか、ユーザの機器操作手順に関するメンタルモデルについて調べることを目的とした。実験方法は、機器の名称およびイラストと作業課題を提示し、課題終了までに必要な手順を被験者に書き出してもらった。 被験者は計47名である。

■計測手順

(1)機器の名前とイラスト(例「原付バイク」)を被験者に提示する。

(2)最初の状況と最後の状況を示す。(例:最初『鍵を持つ』、最後『走り出す』)

(3)最初と最後に間に入る手順を一項目一枚として黄色のポストイットに黒のペン書き込んでもらう。この時、項目数は指定しない。

(4)二番目以降の機器についても1~3と同様のことを行う。

(5)全ての機器について行ったら、1番目の機器について項目数を増やしてもらう(増やせないと被験者が判断すれば増やさなくても可)。最初の手順から順番に下記の2つの方法で増やしてもらう。

1)項目と項目の間に新しい項目が入るかどうか聞く(なければなくても良い)

2)一項目をさらに何ステップかに分割できるか聞く。(次ページ参照) 新しい項目は青色のポストイットに赤のペンで書き込んでもらう。

(6)同様のことを二番目以降の機器についても行う。

(7)この時最初にあげられた項目と二番目にあげられた項目は区別しておく。

■計測条件・環境

メンタルモデル実験の対象機器と課題は次のとおりである。

機器1:ファックス

タスク:自宅から友人のファックスに書類を送信する

機器2:エアコン

タスク:午前6時に暖房が入るよう、タイマーセットを行う

機器3:CD/カセットテープステレオ

タスク:CDに入っている音楽をテープに録音する

機器4:ファミコン

タスク:ゲームを始めるところまで準備を行う

機器5:英和電子辞書

『apple』と言う英単語について、日本語の意味を調べる

機器6:椅子型マッサージ器

タスク:30分間マッサージを行う

機器7:コピー機

タスク:A4用紙書類一枚を20部コピーする

機器8:現金自動支払機(ATM)

タスク:ATMを使って3万円引きおろす

■計測結果

■考え出した項目とステップ数

1)  全被験者の半数以上が考え出した項目は、ユーザが行うべき基本的な必須操作であった。

2)  被験者の出したステップ数は、実験者側が考えた標準ステップ数よりも少ない。

各ステップ間の関係

1)  条件設定のステップ間の操作は順不同である。

2)  上位概念→下位概念、条件設定→決定の順序の場合、一意的に決まる。

3)  基本的な操作の流れは、「準備」→「条件設定」→「決定」と見ることができる。

4)  上記の基本的な流れの各ステップに対し、下位の詳細な操作は階層的につながっている。

5)  操作手順において、高齢者群は若年者群と比べて、ばらつきのある傾向と思われる。逆に言えば、若年者群の場合、操作手順を熟知しており、操作手順に関して、個人差があまり無いといえるかもしれない。

6)  設定→決定というプロセスを書いた被験者は極めて少ない

■ユーザインタフェース設計へのフィードバック(仮説)

1)  大抵のユーザは、基本的な操作の流れとして、「準備」→「条件設定」→「決定」を理解しているようなので、この基本的な流れが分かるようにデザインを行う。

2)  そして、この流れの下で下位の操作を構造的に可視化する。

3)  特に、初心者の場合、自由度が高い操作手順にすると混乱を招く可能性が高いので、「準備」→「条件設定」→「決定」のアルゴリズムの下で、ナビゲーション(手がかり他)を充分に検討して、自由度が少ない操作手順のデザインにする。

4)  条件設定のステップ間では順不同であるが、初心者→自由度小、熟達者→自由度大のように、アルゴリズムのデザインを行う。初心者の場合、順不同であると操作漏れや操作に混乱を生じる可能性があるので、手がかりを活用してある一定の決められた操作手順にした方が良いように思われる。

■参考

高齢者のIT利用特性データベース構築等基盤設備整備事業 (抜粋:高齢者のIT機器に対するメンタルモデルに関する問題点)

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