人間生活工学とは、「安心・安全・快適・健康・便利」を実現するための”ものづくり”の考え方と技術です。

　介護需要は急速な増加が予測され、介護者の負担軽減は重要です。特に腰部の負担は、腰痛の発症によって長期の現場離脱や離職につながることから大きな課題となっています。そこで、介護者など、前傾姿勢や中腰姿勢など腰部負担が大きい作業を行う方々を対象としたアシストスーツを開発しました。
　このアシストスーツ「Assist Lumbar(アシストランバー」は、空気圧人工筋肉を滑車機構で蛇行させて装着者の背面部分に配置する独自の機構（特願2023-26577）によって、軽量でありながら高いアシスト力を発揮します。また簡単な操作でアシストの調整・解除ができるため、頻繁に装具を着脱したり、圧縮空気の供給・排気をしたりする必要がありません。
　若年男性による実験室実験では、中腰姿勢の保持で腰部負担が約24％低減されることを確認しました。また実際の介護現場評価では、移乗介助行為で実験対象者の66.7%が腰部の負担軽減効果を体感し、移乗介助行為以外の中腰姿勢で実験対象者の71.4%が腰部の負担軽減効果を体感しました。