色の識別計測結果


視覚機能 −平成10年度 NEDO121人計測−


 


○被験者数:60人

年代 〜29 〜39 〜49 〜59 60〜
人数 16 10 7 11 16



○計測内容:1枚のシートに貼付された20枚の色標の中から、指示された色に該当すると思われるものすべてにマークを付けてもらい、見落としや、間違ったものに貼付された枚数を調査する。これにより、どのような色が間違えやすいかを調査する。


○計測方法:明るさを、0.1lx、1lx、10lx、100lxと変えながら、各照度で赤、黄、緑、青の色標を選んでもらった。


○計測結果と考察:

 計測の結果を図1、図2に示す。

図1の横方向は色を、縦方向は明るさを示しており、それぞれの図の横軸は年代、縦軸は指定した色とは異なる色を選んだ数(お手つき)と指定した色を選ばなかった数(見落とし)を誤答数として示している。

この図より、赤と黄に比べて緑と青ではお手つき、見落としとも非常に多くなっていること、照度が極端に低いと年代に関係なくミスが多くなるが、年代が高くなるにつれて特に緑と青では照度が上がっても間違いやすくなっていることが分かる。

次に図2は、お手つきの場合、どの色を間違えて選んだかを示したものである。緑や青では青緑との間違いが多く、年代が高くなると、照度が上がっても同じように間違いやすくなっていることが分かる。

このように、赤や黄に比べて、緑や青は加齢とともに、また、照度の低下とともに他の色に間違えやすくなるので、色の識別が重要な場合には併用しない方がよい。また、色そのものを選択しなければならないような場合には、緑や青ではなく、赤や黄の使った方がよいといえる。

なお、この計測に際して色の呼称は人により様々であることが分かった。例えば青色を「藍色」「紺色」と呼ぶ被験者は、緑色を「青色」と呼ぶことが多かった。このような場合、被験者の呼称に合わせて色を選択してもらうよう教示したが、特にこのような計測においては、色標に対する呼称を確認し、計測員と被験者とで相違がないような手続きが必要であるといえる。


図1 色別、明るさ別、年代別、色の識別誤答数



R:赤、YR:オレンジ、Y:黄、YG:黄緑、G:緑、BG:青緑、B:青、P:紫、N4:暗い灰色、N6:明るい灰色

図2 色別、明るさ別、間違えた色の内容