高齢者対応基盤整備データベース

手に取った時の重さ感

■計測内容

この計測では日常生活でどの程度の重さの器具・道具・荷物を持つことができるかを、被験者におもりで調整してもらって実際に決めてもらう。同時に握力計測も行う。

 

■計測機器

1) 片手:アルミの円筒

  • 直径 70mm
  • 高さ 280mm(H)
  • 重量0.5kgに調整
  • おもりは0.25kgの銅製

 

2) 両手:プラスチック製キャリボックス

  • 350mm(W)×240mm(D)×160mm(H)
  • 重量1.0kgに調整
  • おもりは0.25kg、0.5kg、1.0kg
  • おもりはプラスチック製ボトルに水を入れたもの

 

3) 握力計:スメドレー握力計

 

■計測条件

姿勢 条件

片手
(上限3kg)

楽に持てる重さ
少し努力して持てる重さ
できるだけ努力すれば持てる重さ

両手
(上限6kg)

楽に持てる重さ
少し努力して持てる重さ
できるだけ努力すれば持てる重さ

 

■計測方法

測定手順

計測は、片手での計測→5分間の休憩→両手での計測→握力計測の順に行う

〔片手〕

(1) 作業台の高さを「作業台高さ計測」で得た片手の作業面の高さに合わせる。

(2) 被験者の立ちやすい位置に立ってもらう。

(3) 各条件の重さを決めてもらう。 上限(3㎏)以上、持てるという場合は、口頭で持てる重さを申告してもらう。

〔両手〕

(1) 作業台の高さを「作業台高さ計測」で得た両手の作業面の高さに合わせる。

(2) 被験者の立ちやすい位置に立ってもらう。

(3) 各条件の重さを決めてもらう。上限(6㎏)以上、持てるという場合は、口頭で持てる重さを申告してもらう。

 

被験者への教示 

(1) この計測は日常生活の場面で、あなたが負担に感じない重さはどれくらいか、また負担を感じる重さはどれぐらいかを知るためのものです。

(2) 測定した結果は日常生活で使用する製品などの設計に使用しますので、無理をせずに行ってください。

(3) 台の上におかれているおもりを自由に組み合わせて3つの重さ(1.楽に持てる重さ 2.少し努力して持てる重さ 3.できるだけ努力すれば持てる重さ)をそれぞれ決めてください。

(4) 握力の計測を右手、左手ともに行います。

 

■計測結果

計測年:2000年度

計測人数:

片手・両手

年代 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ 合計
男性 9 11 10 13 30 27 8 108
女性 13 9 10 15 29 26 4 106
合計 22 20 20 28 59 53 12 214

 

握力

年代 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ 合計
男性 8 14 9 12 30 27 7 107
女性 10 9 10 15 29 24 4 101
合計 18 23 19 27 59 51 11 208

 

結果のまとめ:

  • 計測結果(1)より、20代、特に女性は手に取ったときの重さに過敏であった。例えば、他の年代が「楽に持てる重さ」と感じている重さを「少し努力して持てる重さ」と感じている。
  • また、片手では「楽に持てる重さ」は1kg程度、「少し努力して持てる重さ」は1.5kg~2.0kg程度、「できるだけ努力すれば持てる重さ」は2.5kg程度で、男女による差はさほど大きく見られなかった。
  • 計測結果(2)より、両手では「楽に持てる重さ」は3kg~3.5kg程度、「少し努力して持てる重さ」は5kg程度、「できるだけ努力すれば持てる重さ」は6kg程度で、男女による差はさほど大きく見られなかった。
  • 両手では「できるだけ努力すれば持てる重さ」になると個人差が減っていた。
  • 計測結果(3)より、握力の結果をみると、40代以降は加齢と共に握力が低下している。若年者の握力の低下は生活様式の変化で瞬間的に力を発揮するような雑巾絞りなどの作業になれていないためと思われる。本計測では力の単位として、日常生活で親しみがあり感覚的にもわかりやすいkgfを用いた。SI単位系には、1kgf=9.80665Nの関係式を用いて変換できる。

 

計測結果:

(1) 片手で持てる重さ(条件別の平均値)

【凡例】
-○-:できるだけ努力すれば持てる重さ
-△-:少し努力して持てる重さ
-◇-:楽に持てる重さ

 

(2) 両手で持てる重さ(条件別の平均値)

【凡例】
-○-:できるだけ努力すれば持てる重さ
-△-:少し努力して持てる重さ
-◇-:楽に持てる重さ

 

(3) 握力(年代別平均値)

【凡例】
-○-:できるだけ努力すれば持てる重さ
-△-:少し努力して持てる重さ
-◇-:楽に持てる重さ

 

■報告書PDF

2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p27-30,46-54,171-173,217-226

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