高齢者対応基盤整備データベース

最適な作業台高さ

■計測内容

この計測は、日常生活や就労場面におけるさまざまな動作・作業で、最適な作業台の高さを知るために行う。下記の3種類の動作を代表例として、計測を行った。

・片手でものを持って動かすとき(ペットボトル・飲料用のビン等を想定)
・両手でものを持って動かすとき(両手鍋・小型のダンボール等を想定)
・パソコンを操作するとき(巧緻性を必要とする場合を想定)

 

■計測機器

1) 作業台

高さを自由に変えられる油圧式の可変台を使用する。
油圧装置は足踏み式で一回の踏み込み操作により1~2cm上昇する。
バルブの開閉により、下降時の制御が可能である。
台の作業面は1200×900mmになっている。

 

2) 計測用負荷物

片手 両手
  • アルミの円筒
  • 直径 70mm
  • 高さ 280mm(H)
  • 重量0.5kgに調整
  • おもりは0.25kgの銅製
  • プラスチック製キャリボックス
  • 350mm(W)×240mm(D)×160mm(H)
  • 重量1.0kgに調整
  • おもりは0.25kg、0.5kg、1.0kg
  • おもりはプラスチック製ボトルに水を入れたもの
パソコン  
  • 300mm(W)×250mm(D)×450mm(H)

 

■計測条件

姿勢 形態
座位 片手
両手
パソコン
立位 片手
両手
パソコン

 

■計測方法

測定手順

〔座位 片手〕

(1) 700mmに作業台の高さを設定する。

(2) 作業がしやすいように、自由に椅子の位置を決めてもらう。(計測中は動かさないように椅子の後ろにマークをする。)

(3) 必ず片手計測用負荷物の一番下を持つように注意を促す。

(4) 40mmピッチで作業台を上げ下げし、感想を被験者に聞く。

(5) おおよその台の高さが決定したら、今度は10~20mmピッチで微調整をして、その人に合った適正な高さを決める。

(6) 作業としては、計測用負荷物を300mm程度、前後・左右に滑らさずに移動してもらう。

(7) もし、「ちょうどよい」と答えた高さがいくつかある場合は、それぞれの高さを比較してもらい決定する。

 

姿勢 形態 手順
座位 片手 上記に示す通り
両手 ・「座位 片手」同様に計測を行う
・両手計測用負荷物を持つときは必ず取っ手の部分を持ってもらう
パソコン ・「座位 片手」同様に計測を行う
・パソコンの位置は計測前に操作しやすい位置に自由においてもらう
・計測中はパソコンを動かさないように注意を促す
・作業は、両手でキーボードをタイピングしてもらう
立位 片手 ・作業台の高さを900mmに設定する
・「座位 片手」同様に計測を行う
・足を肩幅程度に少し開いて作業がしやすい位置に立ってもらう
・計測中は立っている位置を動かさないように注意を促す
両手 ・「立位 片手」同様に計測を行う
・両手計測用負荷物を持つときは必ず取っ手の部分を持ってもらう
パソコン ・「立位 片手」同様に計測を行う
・パソコンの位置は計測前に操作しやすい位置に自由においてもらう
・計測中はパソコンを動かさないように注意を促す
・作業は、両手でキーボードをタイピングしてもらう

 

被験者への教示 

(1) この計測は机・台の上で何か作業をするときに、どのくらいの高さが作業をしやすいのかを知るためのものです。

(2) 測定した結果は日常または仕事で使用する製品の設計に使います。

(3) では作業がしやすい位置に椅子を自由に動かしてください。

(4) これから高さを変化させていきますので、それぞれの高さで10分~15分作業を続けることを想定していただきます。

(5) その高さに対して5段階評価(1.高い 2.やや高い 3.ちょうどよい 4.やや低い 5.低い)の中から当てはまるものを選んで答えて下さい。

 

■計測結果

計測年:2000年度

計測人数:

年代 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ 合計
男性 9 11 10 13 30 28 8 109
女性 13 9 10 15 29 25 4 105
合計 22 20 20 28 59 53 12 214

結果のまとめ:

  • 計測結果(1),(3)より、高齢者は、若年者に比べて5~10cmほど低い高さの作業台を好む傾向がある。例として、計測結果(1)を見ると、座位:両手でものを持つ場合に30代女性と80代女性では、8cm以上の差がある。
  • また、立位の方が座位より作業台の作業面高さ,指位置の高さは加齢による変化が大きく見られる。
  • 計測結果(2),(4)より、肘頭下縁高と作業台の高さとの比率を見た場合、若年者と高齢者の間に大きな変化は見られない。

 

計測結果:

(1) 座位:最適な作業台の高さ(条件別の平均値)

【凡例】 -◇-:片手  -△-:両手  -○-:パソコン

 

(2) 座位:最適な作業台の高さ/肘頭下縁高(条件別の平均値)

【凡例】 -◇-:片手  -△-:両手  -○-:パソコン

 

(3) 立位:最適な作業台の高さ(条件別の平均値)

【凡例】 -◇-:片手  -△-:両手  -○-:パソコン

 

(4) 立位:最適な作業台の高さ/肘頭下縁高(条件別の平均値)

【凡例】 -◇-:片手  -△-:両手  -○-:パソコン

 

■報告書PDF

2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p27-45,163-170,217

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