高齢者対応基盤整備データベース

繰り返し手を伸ばす作業

■計測内容

ベルトコンベアでの流れ作業ではものの流れる位置から作業をする人の位置までの距離が作業性に関与していると考えられる。
そこで、この計測ではベルトコンベアでの検品作業をイメージしてもらい、どのくらいの位置ならば楽に作業ができるのか、あるいはどのくらいの位置まで手が届くのかを知るための計測を行う。

 

■計測機器

1) ベルトコンベア

  • ・本体:㈱オークラ機器
  • ・形式:BMG30H200A
  • ・単相:100V
  • ・最高速度:2.25m/min

 

2) 500mlペットボトル

 

■計測条件

・ベルトコンベアの最高速度である2.25m/minに設定したベルトコンベアに、30cm間隔でペットボトルを流す。
・ペットボトルを流す位置はベルトの中央(手前端から370mmのところ)とする。
・「楽に作業ができる位置」「少し努力して作業できる位置」「できるだけ努力すれば作業できる位置」の3条件で行う。
・作業時間は1分間とする。

 

■計測方法

計測は、練習→休憩→「楽に作業できる位置」→休憩→「少し努力して作業できる位置」→休憩→「できるだけ努力すれば作業できる位置」の順に行う。

測定手順

楽に作業できる位置
  • ベルトコンベアの高さは「作業台高さ計測」で得た座位片手の高さに合わせる。
  • 椅子の高さは身体部位計測で得た座面高にする。
  • 作業しながら椅子の位置を前後に動かして調節し、「楽に作業ができる位置」を決めてもらう。
  • 1分間作業をしてもらう。
  • 作業後に椅子の後ろ脚をマジックテープで印をする。
  • ベルトコンベア中心から肩峰点までの距離を測る。
  • 作業後にどの程度作業を続けられるか時間を聞く。
  • 作業後に、重さについての3段階評価(1.楽に持てる 2.少し努力して持てる 3.できるだけ努力すれば持てる)を行ってもらう。
  • 作業後に、疲れ具合についての5段階評価(1.楽 2.まあまあ楽 3.どちらともいえない 4.少し疲れる 5.非常に疲れる)を行ってもらう。
少し努力して
作業できる位置
  • 「楽に作業できる位置」と同様
できるだけ努力すれば
作業できる位置
  • 「楽に作業できる位置」と同様

 

 

ベルトコンベアから肩峰点までの測り方

 

 

 

被験者への教示 

(1) この計測ではものを持って何かを繰り返し作業するときに、どのくらいの位置まで手が届くのか、どのくらいの位置なら楽に作業ができるのかということを知るためのものです。ここではベルトコンベアでの検品作業を想定して計測を行います。

(2) ベルトコンベア上を500mlのペットボトルが流れてきます。このペットボトルを手に取ってキャップの上部にシールを貼り、横にある作業台に置くという一連の作業を繰り返して頂きます。

(3) 作業は「楽に作業ができる位置」「少し努力して作業できる位置」「できるだけ努力すれば作業できる位置」の3種類行います。

 

■計測結果

計測年:2000年度

計測人数:

年代 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ 合計
男性 9 11 9 12 29 26 7 103
女性 11 9 10 15 28 23 3 99
合計 20 20 19 27 57 49 10 202

 

結果のまとめ:

  • 「できるだけ努力すれば作業できる位置」では、若年者に比べて高齢者は作業の範囲が狭くなる傾向が見られる。
  • 特に、男性の「できるだけ努力すれば作業できる位置」では、高齢者の方が若年者より作業域が狭くなる。
  • 「少し努力して作業できる位置」「できるだけ努力すれば作業できる位置」は、人によるばらつきが大きい。この傾向は女性に比べ、男性の方が顕著である。

 

計測結果:

肩峰点から作業位置までの距離の平均値を示す。

 

■報告書PDF

2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p27-30,126-132,203,217-226

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