高齢者対応基盤整備データベース

音に対する記憶と反応

■計測内容

日常生活や生産場面においては、「ピー」というような電子音に促されて行動を起こすことがよくある。その場合、どの音であるかを聞き分けて行動に移るが、生活の中には電子音が溢れており、まぎらわしい場合も多々ある。そこで、この計測では種類の異なる音を記憶できるかということと、記憶した音合図に対して正しく行動できるかどうかを計測し、若年者と高齢者では記憶力や音に対する反応に、どの程度の違いがあるのかを調べた。

 

■計測機器

1) 計測用システム:測定時間計測単位 0.001秒  測定精度 0.05秒

2) 計測用パソコン:DELLコンピュータ製

3) 提示音(音圧55dBA)
・ボタン1(赤色)→ 2000Hz長音3回
・ボタン2(青色)→  500Hz長音3回
・ボタン3(緑色)→ 2000Hz短音3回
・ボタン4(黄色)→  500Hz短音3回

[音のパターン]

・長音3回
・短音3回

 

[計測装置の概要]

 

■計測条件

1) 午前中
・4種類の音の記憶(記憶するまでの提示回数)
・直後に音を提示し、反応時間,正誤を記憶する。

 

2) 午後
・午前中に記憶してもらった音を再度提示し、反応時間,正誤を記録する。

 

■計測方法

測定手順

(1) 午前中に1回目の計測を行い、午後に2回目の計測を行う。

(2) 午前中の計測で、まず4種類の音を記憶してもらう。

※音の記憶方法については、以下のとおり。

・まず4種類の音を1回ずつ提示して、それぞれの音に対応したボタンを教える(これを1回目の提示とする)。記憶できるまで繰り返し提示する。
・被験者が音を記憶したと申告した時点で、4種類の音を1回ずつ提示してボタンを押してもらい、全て正しく押せるかどうか確認する。
・全て正解するまでこれを繰り返す。このとき、提示した音の回数を記録し、「音を記録するまでの提示回数」とする。

 

(3) 完全に音を記憶した段階でランダムに音を10回提示し、反応時間,正誤を測定する。

(4) 午後に2回目の計測を行い、反応時間,正誤を測定する。

 

被験者への教示 

・普段ご家庭で使われている電化製品等にはピーピーピーというようなお知らせの音が鳴るものがあります。通常その音に対してスイッチを切る等、何らかの動作を起こしますが、この実験では音を覚えてその音に対する反応が正確にできるのか、また反応時間はどのぐらいであるかを調べます。

 

■計測結果

計測年:2001年度

計測人数:

年代 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ 合計
男性 11 9 9 12 26 24 8 99
女性 11 12 10 15 23 25 6 102
合計 22 21 19 27 49 49 14 201

 

結果のまとめ:

  • 計測結果(1)より、60代以上になると音を記憶するまでの提示回数が増え、記憶に時間がかかっていることがわかる。
  • 計測結果(2)より、正答率は男女とも70代から低下し、記憶直後より3時間後の正答率の方がより低下するということがわかる。
  • 計測結果(3)より、反応時間は記憶直後,3時間後のどちらの場合でも加齢に伴って遅くなっていることがわかる。

 

計測結果:

(1) 音を記憶するまでの提示回数

 

(2) 正答率

 

(3) 反応時間

 

■報告書PDF

2001年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p32-34,175-179,218,222-229

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