高齢者対応基盤整備データベース

聴き取りやすい音量

■計測内容

ラジオのニュース番組の音を、内容が聴き取れる最小の音量(最小音量)、最も聴き取りやすい音量(最適音量)、我慢できる最大の音量(最大音量)の3段階に合わせてもらい、聴取音量の許容範囲を測定した。
なお、被験者の耳の位置での等価騒音レベルを測定した。

■計測機器

1) 騒音計:リオン社製 NA-27K

2) CD付きラジカセ:シャープ製 コンパクトディスクステレオQT-X8

3) ストップウォッチ

 

■計測方法

測定手順

(1) 被験者に入室、ラジオの正面に着席してもらう。座る位置が決まったら、被験者の耳の位置に合わせて集音用マイクを置く。

(2) 「内容が聴き取れる最小音量」→「最も聴き取りやすい音量」→「我慢できる最大音量」の順に聴取レベルを測定する。

(3) 被験者に音の大きさを決めてもらい、騒音計で30秒間の等価騒音レベル(LAeq)を測定する。(なお、時間重み特性はFastとした。)

(4) 静かな環境で1分間の休憩をとった後、次の測定を行う。

被験者への教示 

(1) これから普段どのくらいの音の大きさでテレビやラジオを聴いているのかを知るための計測を行います。

(2) 正面のラジカセの音量つまみを調整して「内容が聴き取れる最小の音」に合わせてください。

(3) 音が出始めましたら、両耳から均等に音が聴こえるような位置に椅子を合わせてから音の調整をしてください。

4) 計測では長時間ニュースを聴いて頂くわけではありませんが、実際にご家庭でテレビやラジオの音を1時間程度聴くようなつもりで音の調整を行ってください。

(5) では音の大きさを測りますので30秒間静かにお待ちください。

6) 次に1分間静かな環境に耳を慣らすため、音を消して静かにお待ちください。(以下同様に教示を行いながら、「最も聴き取りやすい音量」、「我慢できる最大音量」の計測を行う。)

 

■計測結果

計測年:2000年度

計測人数:

年齢別

年代 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ 合計
人数 23 20 20 27 59 56 11 216

 

聴力レベル別

聴力レベル -10~0 1~10 11~20 21~30 31~40 41~ 合計
人数 13 89 71 30 8 4 215

結果のまとめ:

  • 計測結果(1)より、加齢により最小音量,最適音量は大きくなっているが、最大音量については、高齢者は若年者に比べてやや小さくなっている。このことから、高齢者が日常的に無理なく聴取できる音量の幅は、若年者に比べて狭いことがわかる。
  • また、若年者では最大音量に人によって大きなばらつきがあり、高齢者では最小音量の方に人によってばらつきが多い。聴力レベル別の結果を見ると、聴力損失が大きくなるに従って、最小音量,最適音量は大きくなっているが、その傾向の顕著な最小音量でも、聴力損失に比例する程までは上げてなく、約半分程度である。
  • 計測結果(2)より、最大音量は健聴者と比べても大差なく、むしろ若干低下している。従って、聴力損失の大きい人は、無理なく聴取できる音量の幅が健聴者と比べるとかなり狭くなっていると言える。これらの結果はラウドネスの結果とよく整合している。

 

計測結果:

(1) 年齢別及び聴力レベル(4分法)別の結果

年齢別及び聴力レベル(4分法)別の全員の結果を「最小音量」,「最適音量」,「最大音量」の別に示す。 曲線は最小2乗法による2次式の近似曲線である。

・凡例
(正常):25dB以下(n1=191)
(軽度の難聴):26~40dB(n2=20)
(難聴):41dB以上(n=5) n=216

 

(2) 年代別及び聴力レベル別の平均値,最小値,最大値,平均値±SD

年代別及び聴力レベル別の平均値,最小値,最大値,平均値±SDを示す。 聴力レベルは4分法で求めたものを10dBごとに区切り、6段階とした。

 

■報告書PDF

2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p354-355,400-403,418-419

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