センター案内

設立の趣旨

1990年10月

 生活者の欲求が、量的な充足から質的な充足を求めるものへと変化してきている中で、商品やサービスに対する快適性、満足度を高めていくことへのニーズが、近年急速に高まってきています。しかし、これまでの我が国産業界は、どちらかといえば生産者にとっての効率性を規格化等の工夫により追求し、消費者のニーズに応えてきた部分がありました。

 質的充足への向かう近年の新しい潮流の中で、産業界には、新しい変化に的確に対応し、生産者の視点を消費者の視点へと推移させていくことが求められており、生活者の嗜好や製品を使用したりサービスを享受する人間の感覚や身体的特性等について、詳細に分析、把握し、製品やサービスの企画、設計さらには技術開発の場等に積極的に反映させていことの重要性が強く認識されてきています。

 こうした人間の感覚、嗜好に係わる技術開発や関連情報の体系的収集等は、産学官の多くの分野で生活者の指向の展開を支える基盤的技術情報であり、その研究の進展による波及効果は大きいものがありますが、未だその取り組みは十分とは言えず、また、一社限りでの努力では限界があることもまた事実であります。このような点で、本分野の研究は、産業界、学界、政府等が協力して総合的に推進していく必要があります。

 平成2年6月にとりまとめられた通商産業省産業構造審議会「ゆとりと豊かさ小委員会」報告書においても、「人間感覚に重点を置くという新しい視点のもと、体系的に研究開発を進めていくことが必要」であると、研究開発推進体制の整備の必要性が指摘されております。また、通商産業省においては平成2年度より人間の諸感覚を簡易かつ定量的に計測し、製品の設計、製作に反映させていくための技術を確立することを目的として、人間感覚計測応用技術研究開発プロジェクトに着手されたところでもあります。

 この機にあたり、産業界、学界、政府等関係方面との連携を図り、上記研究開発プロジェクトの受託研究を実施するとともに、居住環境、職場環境等各種の人間生活の場における人間の身体、心理、さらには感性をめぐる諸問題の調査研究、情報の収集及び提供、並びに国際交流の促進を総合的に推進していくことにより、生活を中心とする関連産業の振興を図り、もって国民生活の向上に寄与することを目的として「社団法人 人間生活工学研究センター」を設立しようとするものであります。

社団法人 人間生活工学研究センター設立準備会
幹事

大阪ガス株式会社
関西電力株式会社
東洋紡績株式会社
積水化学工業株式会社
三菱電機株式会社
日産自動車株式会社
株式会社資生堂
サントリー株式会社

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